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【PISA2025のポイント】校内のデジタル・リソース利用はOECD加盟24か国中5位、学校の勉強でのAI利用は38か国中38位 環境・利用頻度・AI利用の結果をまとめる

執筆者の写真: Yoshihiro Sakagami
Yoshihiro Sakagami
11 分前
読了時間: 9分

📌 この記事の要点

・「学校内でのデジタル・リソースの利用頻度」指標は、OECD加盟24か国中5位でOECD平均より高い水準です(学校外は2位)

・「学校内での使いやすさ」に関する項目はおおむね、「学習における有効性」に関する項目はいずれも、肯定的回答の割合がOECD平均より高い水準です

・一方、教科別の利用頻度で「すべての授業」「授業の半数以上」と答えた割合はOECD平均より低く、2022年と比べて横ばいまたは低下でした

・「デジタル・リソースの使用による注意散漫」は、「まったく、又はほとんどない」と答えた割合がOECD平均より高い水準です

・学校の勉強における「AIの利用頻度」指標は、OECD加盟38か国中38位でした

・OECDは、AI利用と成績の関係を「複雑である」とし、利用頻度の多さがそのまま高い成績に結びつくとは述べていません


文部科学省・国立教育政策研究所は令和8年9月8日、「OECD生徒の学習到達度調査(PISA2025)のポイント」を公表しました。あわせて、OECDの報告書「PISA 2025 Results (Volume I): Future-Ready Students」も公開されています。


PISA2025では、3分野と革新分野の調査に加えて、生徒質問調査やICT活用調査などの質問調査が実施されました。この記事では、そのうちデジタル機器とAIの活用に関する結果をまとめます。GIGAスクール構想の次の段階を検討する材料になれば幸いです。



1. デジタル機器・AIの活用の環境と利用頻度 校内5位・校外2位



利用頻度の順位からは、日本は、学校内でのデジタル・リソースの利用頻度は高い一方、学校の勉強でのAI利用頻度はOECD加盟国で最も低い、という位置にあると読み取れます。この利用頻度と成績の関係について、OECDは因果関係を断定していません。


【調査結果のポイント】

  • 「学校内でのデジタル・リソースの利用頻度」指標は、OECD加盟24か国中5位で、OECD平均より高い水準です

  • 「学校外でのデジタル・リソースの利用頻度」指標は、OECD加盟24か国中2位です

  • 学校での学習活動におけるデジタル・リソースの使用時間は、1日あたり平均約1.7時間でした。OECD平均も約1.7時間で、37か国中14位にあたります

指標はいずれも、この設問に回答したOECD加盟国の平均が0.0、標準偏差が1.0となるよう標準化されたものです。値が大きいほど利用頻度が高いことを意味します。


2. 生徒から見た環境 使いやすさ・有効性ともOECD平均を上回る


【出典:文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査2025年調査(PISA2025)のポイント」(令和8年9月8日) p.33「学校内でのデジタル・リソースの使いやすさ/学習におけるデジタル・リソースの有効性」】


【調査結果のポイント】

  • 「学校には、生徒全員のために十分なデジタル・リソースがある」「学校には、インターネットに接続できるデジタル機器が十分にある」「学校の先生は、授業中にデジタル機器を使うための十分な能力がある」などの項目について、日本は肯定的回答の割合がOECD平均よりおおむね高い水準です。たとえば「インターネットに接続できるデジタル機器が十分にある」は日本83.9%、OECD平均75.9%でした。ただし「学校のインターネットは十分速い」は日本49.8%、OECD平均54.6%で、日本のほうが低い結果です

  • 「複雑なことを学ぶのにデジタル・リソースは役立つ」「デジタル・リソースを使うと、学習内容がより面白くなる」という有効性に関する項目は、いずれも肯定的回答の割合がOECD平均より高い水準です


日本の生徒は、学校のデジタル環境が十分だと答えた割合も、学習に役立つと答えた割合も、OECD平均を上回っています。



3. 教科別の利用頻度 OECD平均より低く、2022年から横ばいまたは低下



【出典:文部科学省・国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査2025年調査(PISA2025)のポイント」(令和8年9月8日) p.34「教科別でのデジタル・リソースの利用頻度/デジタル・リソースの使用による注意散漫」】


【調査結果のポイント】

  • 教科別に「すべての授業又はほとんどすべての授業」「授業の半数以上」と答えた割合は、日本はこれまでと同様、OECD平均より低い水準です

  • 2022年の結果と比較しても、活用割合は横ばいまたは低下でした(OECD平均は低下しています)。なお、OECD平均は2025年が37か国、2022年が29か国の平均で、構成国が異なるため、単純な比較には留意が必要と注記されています

  • 一方、「生徒は、デジタル・リソースを使っているため気が散っている」という設問に「まったく、又はほとんどない」と回答した割合は、OECD平均より高い水準です


OECDの報告書によると、OECD平均では28%の生徒が、理科の授業のほとんどまたは毎回、クラスメイトがデジタル機器で気を散らしていると回答しています。日本、韓国などではこの割合が10%未満で、日本と国際平均の状況は異なります。


なお、学校での学習活動における使用時間は前述のとおりOECD平均と同水準です。使用時間と、教科の授業に占める利用頻度は、別々の指標である点に留意が必要です。



4. 学校の勉強におけるAIの利用 38か国中38位




【調査結果のポイント】

  • 学校の勉強における「AIの利用頻度」指標は、OECD加盟38か国中38位でした

  • 指標は「学習を助けてもらうため」「文章を作成する課題の下書きをするため」「読まなくてはいけない文章を要約するため」「新しいテーマについての予備的な研究を行うため」の4項目への回答から算出されています

  • OECDの報告書によると、OECD平均では14%の生徒が、調査で尋ねた4つの用途のいずれについても「まったく、又はほとんど利用しない」と回答しています。報告書の図では、日本がこの割合の最も高い国として先頭に示されています(OECD報告書 第4章 Figure I.4.12)


OECDは、高い成績を収めている教育システムのあいだでもAI利用頻度に大きなばらつきがあるとしたうえで、その背景に政策の違いがある可能性を示しています。報告書は、韓国とシンガポールが大規模かつ包括的なデジタル学習政策を実施しており、シンガポールはAIツールの活用を明示的に含めていると記述しています。一方、AI利用頻度が相対的に低い日本とエストニアについては、デジタル学習に関する政策が比較的包括的ではないと述べています(ただし「部分的に説明しうる」という留保付きです)。台湾は、2021年から大規模なデジタル学習政策を実施しているにもかかわらずAI利用頻度は低く、例外として挙げられています。


5. 利用頻度と成績の関係 OECDは「複雑」と整理




利用頻度の順位からは、日本は、学校内でのデジタル・リソースの利用頻度は高い一方、学校の勉強でのAI利用頻度はOECD加盟国で最も低い、という位置にあると読み取れます。この利用頻度と成績の関係について、OECDは因果関係を断定していません。


【調査結果のポイント】

  • 学校での学習活動においてデジタル・リソースを適度に使用する場合、科学コンピテンシーの平均得点は高い傾向が見られます。一方、使用しない場合も、長時間使用する場合も、平均得点は低い傾向にあります。この傾向は日本・OECD平均に共通しています。なお、日本の「5時間より多く7時間以下」「7時間より多い」は回答した生徒数が少ないため、解釈には留意が必要とされています

  • OECDの報告書は、AI利用と成績の関係について「複雑である」とし、特定の作業についてはAIを利用しない生徒のほうが成績が高い傾向にあると記しています(OECD報告書 第4章)

  • 同時に、学校でAIに関する学習機会がある生徒に限れば、週1回以上利用する生徒が、非利用者や月2回以下の利用者をわずかに上回るとも記しています(同 Box I.4.2)


つまり、AI利用頻度の順位が低いことを、そのまま学力面の課題として読むことはできません。利用頻度と成績の関係は用途や学習機会によって変わるため、次回の記事で詳しく取り上げます。


6. 総括と、文部科学省が示した施策


今回のICT活用調査から読み取れるのは、次の3点です。第一に、デジタル・リソースの利用頻度はOECD加盟国の上位にあり、環境の十分さや有効性についての生徒の受け止めもOECD平均を上回っています。第二に、教科の授業における利用頻度はOECD平均より低く、2022年と比べて横ばいまたは低下でした。第三に、学校の勉強におけるAI利用は、OECD加盟国の中で最も少ない水準にあります。


文部科学省は、PISA2025の調査結果を踏まえた施策として、GIGAスクール構想の更なる取組の推進を挙げています。具体的には、共同調達スキームの下での端末の着実な更新と学校におけるネットワーク環境の改善、GIGA StuDX推進チームによる研修や学校種別の授業動画などの研修コンテンツの提供、学校DX戦略アドバイザーの派遣による自治体の課題に応じた支援です。あわせて、学校現場において生成AIが適切に利活用されるようガイドラインの改定を行うとともに、安全かつ主体的にAIを活用できる環境の構築に向けた取組(教育分野特化AIに関する実証研究等)を推進するとしています。


また、次期学習指導要領に向けた検討として、情報活用能力の抜本的向上に向け、小学校・総合的な探究の時間への「情報の領域」の付加、中学校での「情報・技術科」の新設、高校「情報科」の充実を図り、情報の真偽や偏りの吟味、判断の留保、デジタルの賢い使い方と距離の置き方をはじめとするメディアリテラシーや情報モラルの育成を図るとしています。

端末や回線の整備は進んだので、次は教科の授業の中でいつ何のために使うかを、学校と教育委員会が設計する段階に入っています。今回の結果は、その設計を始めるための基礎データになります。



✍️執筆者



阪上 吉宏(株式会社エデュテクノロジー 代表取締役)

IT企業を経て、2007年に Apple に入社。教育部門の立ち上げメンバーとして多くの教育機関の一人一台導入に関わる。世界中の授業を見てきた経験を日本に還元すべく、2014年に株式会社エデュテクノロジーを創業。




株式会社エデュテクノロジーの関連支援サービス


生成AIガイドライン策定支援

  • 文部科学省ガイドラインの改定を踏まえ、自治体・学校の実情に合わせた利用方針の策定を支援します


教職員向け研修・ウェビナー

  • 生成AIの利活用と情報セキュリティの留意点を、現場の事例に即してお伝えします


GIGA第2期の環境整備コンサルティング

  • 共同調達・ネットワーク改善・端末更新の計画策定を支援します


ICT活用状況の可視化支援

  • 校内アンケートによる活用実態の把握と、教科別の活用設計をご提案します







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