【AI教育共創チャレンジ】インタビュー:「変わり続ける」が伝統。済美平成が生成AIで仕掛ける、教員の働き方と組織文化のアップデート
- ayakonakagawa
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愛媛県松山市に位置する済美平成中等教育学校。県内屈指の進学校であり、中学3年次には全員が8000字を超える論文を執筆するなど、独自の探究教育で知られています。
生徒たちは非常に誠実で、学ぶことに対して真っ直ぐ。そんな「真面目な校風」を持つ同校が、今なぜ組織を挙げた生成AIの導入に踏み出したのか。そこには、進学校が共通して抱える「熱意ゆえの多忙」を打破し、教員と生徒が共に未来をデザインするための、壮大な組織改革の意志がありました。
「もっと個別に見てあげたい」——濱田先生がこのプロジェクトに懸けた想い
実は今回の「AI教育共創チャレンジ」ですが、濱田先生が真っ先に応募に手を挙げてくださいました。当時の率直な動機をお聞かせいただけますか?
濱田先生: 企画を見た瞬間、「これだ」と思いました。現場では、多くの先生が「もっと個別に生徒を見てあげたい、対話したい」と願っています。
しかし現実は、膨大な校務や授業準備に追われ、物理的な余白が一切ない。自分自身も、AIを使いこなせば解決できるかもしれないという予感はありましたが、一人で形にするには限界を感じていました。
外部の専門家と連携して、組織としてこの状況を突破できるチャンスだ、と直感したんです。

中矢教頭: 学校組織は、どうしても従来のやり方を「正解」としがちです。ですが、濱田先生のような現場の熱意を起点に、組織全体が「何にでも前向きにチャレンジしていく」という足並みを揃えることが、今、最も必要だと感じています。
「ティーチャー」から「ファシリテーター」へ。教員の役割を進化させる
AIの導入によって、先生方の役割はどう変わっていくべきだとお考えでしょうか。
森校長: これまでは、知識を一方的に伝える「ティーチャー」としての役割が主でした。しかし、これからは生徒一人ひとりの学びに寄り添う「ファシリテーター」への進化が不可欠です。本校の「論文活動」も同様です。AIを使えば情報の整理は一瞬で終わる。だからこそ、その先の「AIには出せない、人間ならではの考察」を生徒が生み出せるよう、先生が対話を通じて引き出していく。そのための時間を生み出さなければなりません。
中矢教頭: そのために重要なのが「業務の可視化」です。私たちは今、どの業務にどれだけの時間を割いているのか。愛媛県内の私立校でも、勤務実態の可視化はまだ課題が多い。AI活用を通じて業務を可視化し、負担を軽減することで、先生たちが本来の「教育者としての創造性」を取り戻せる環境を作りたいと考えています。先生方の情熱を、生徒一人ひとりの支援や、授業研究に集中できるようにしたいんです。

「労力を削減できる」場所を、徹底的に洗い出す
エデュテクノロジーとして今回特に意識している「自動化」の深意を教えてください。

阪上:
今、学校現場は多忙感に溢れていると感じています。方や、生成AIの進化のスピードは目まぐるしく、扱えるデータの数も増えていくでしょう。ICTに苦手意識のある先生方にとっては、新しいツールの登場速度が早くなってきていて、それに慣れるのもしんどいかもしれません。
より教育目標に意識をフォーカスできるよう、業務改革やICTによる自動化が欠かせません。
私がこのプロジェクトで成し遂げたいのは、先生の多忙感を軽減させつつ、生徒と向き合う時間を確保することです。そのために、業務やタスクを徹底的に洗い出し、仕組み化を目指します。定型的な業務やデータ整理など、日々繰り返し行われるタスクの下準備を生成AIに任せきる。現在は「生成AIを使うこと」自体に工数がかかる段階かもしれませんが、将来的に目指すのは「意識せずとも生成AIが裏側で動いている」状態なんです。
そうすること、先生方が本来意識を向けるべき場所に、全力で向き合える環境を創りたいという想いです。
本プロジェクトを通して、済美平成は「挑戦が日常」になる磁場へ
最後に、このプロジェクトへの期待をお聞かせください。
濱田先生: 1年後、一部の得意な先生だけでなく、全教職員が「AIがあるから、もっと面白い教育ができる」「もっと生徒と向き合える」と、前向きなワクワク感を共有できている状態にしたい。それが私の最大の願いです。
中矢教頭: 私たちが変わる姿を見せることで、生徒たちも「失敗を恐れずに挑戦していいんだ」と感じ取ってくれるはずです。地方の学校でも、テクノロジーを武器にここまで進化できるんだという全国のロールモデルになりたいですね。
森校長: 才能の多寡で夢を諦める時代は終わりました。足りないスキルはAIが補ってくれる。だからこそ、問われるのは「パッション(情熱)」です。済美平成が、教員も生徒も自らの意志で未来をデザインし、互いの情熱が共鳴し合う「磁場」のような学校になる。今回のプロジェクトは、そのための歴史的な転換点になると確信しています。

編集後記(エデュテクノロジー:羽生)

今後問われるのは、「パッション」。今回のインタビューで最も心に響いた言葉です。
教育の質を守るために、あえて「人がやらないこと」を決める勇気。済美平成中等教育学校様が挑む、この生成AIを切り口にした「組織としてのマインドセット改革」に、私たちエデュテクノロジーも全力で、そして現場目線で伴走してまいります!





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